Fevered

 

 

 

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米国といっても広い.地域によって気候も風俗も違うので,米国出張が続いても,そう飽きることはない.しかし,なぜかここのところ国際会議が3件,立て続けにフロリダ半島・メキシコ湾岸近辺ばかり.日本から行くと時間がかかることもあって,さすがに少し「またか」という気分になった.

タンパはいかにもビジネス都市という風情でなに一つおもしろいものはなかったが,行ったのが12月で,しかも厳寒のボストンに住んでいた頃だったので,ああなんて暖かくて暮らしやすいところなんだろうと思った.しかし,次に行ったマイアミは,いわば一番嫌いな街になってしまった.米国指折りの観光地で,Billy Joel の歌にも出てきたりと一種の憧れを抱かせるところらしいけれど,あまりに「リゾート」しすぎているところや,ホテルの精算でぼったくられた(あとからしつこく電話して取り返したが)ことなど,いろいろあって全く波長が合わなかった.

そうしてまた,ふた月と待たず米国を訪問することになったわけだけれども,ニューオーリンズはそれらとはまた全く違う,独特の文化あふれる街だった.フランス統治の名残を残す建物や食文化.ジャズ発祥の地としての誇りとおおらかさ.空港から市街地へ向かう道中ではハリケーン・カトリーナがもたらした大水害の爪痕もまだ癒えてなかったけれども,街中は活気があり,オトナの色香漂うバーボンストリートも歩いていて楽しかった.

参加した会議(SIGGRAPH)は大規模なだけでなく,ハリウッド映画制作関連企業の技術の粋を集めた会議参加者限定のシアターや展示会など,それだけで楽しめるイベントが盛りだくさん.今回は参加数回目にしてとうとう,自分も著者に名を連ねた研究が最も権威ある発表カテゴリーに採録されたこともあって,揚々とした気分で会場に入った.あり得ないほどパワフルな MIT の連中もたくさん参加していて,夜な夜な集まって飲み語り,ニューオーリンズの名物,アリゲータのソーセージを試してみたりと楽しんでいたのだけれども,・・

米国の国際会議ではいつものことながら,会場に空調が効きすぎてやたら寒い.それにしても今回は度を超しているな,どうやら体調までおかしくなってきた,・・と思っていたらなんと新型インフルエンザにかかってしまっていた.といってもこれは日本に帰ってからすぐ空港で検査を受けて分かったことだけれど,とにかくホテルでは寝ているのもつらいほどになってしまった.いざというときの解熱剤ロキソニンはいつも出張には持ってきているので助かったのだけれど,おかげで会議主催のパーティにも出られなかった.それでも最終日,トリを務めた自分たちの発表だけにはなんとか這うようにして参加した.

この写真はその,体調がおかしくなりかけた時に,ホテルに戻る道すがら撮ったように記憶する.南部の8月らしく陽光が煌めき,まるでインフルエンザには縁がない気候だったので,これはなんだろう,きっと食あたりかなあ,なんて思ってたころだ.ニューオーリンズは米国を縦断する超大河ミシシッピ川の河口の街で,ゆったりとした流れのない川を貨物船が行き来する.数年前に訪れた,カナダに隣接する米国中北部ミネソタ州のミネアポリスでは同じミシシッピ川に唯一みられるという滝があって,そこから長い時間をかけて米国を蛇行しながら流れてくるのだ,行こうと思えば船でもあそこに行けるんだ,と思うとちょっと不思議な気分になった.

カメラは前作に引き続きGA645だが,このようなフルオートカメラは風邪を引いて少々ふらついていてもちゃんと写真が撮れるので有り難い.というのは結果論か.

Fujifilm GA645, SUPER-EBC FUJINON 60mm F4
Fujifilm Neopan ACROS,シュテックラー改処方(中川式)

(upload : Feb., 2010.)