卓上CNCを選ぶ
卓上CNCはamazonなどの国内通販でも2万円を切る機種があるし、中国から通販で買えばもっと安い。ものは試し、で安価なものから始めてもいいのだが、カメラや家電製品とは異なり組み立て式だし、モノが大きいため、売却が難しい。これは3Dプリンタで経験済みで、「最初からもうちょっといいのにしておけばよかったな」という後悔がありがちな機械だと思う(まあそう思っていい機種を買っても、もっと良いものにしておけばよかったという念は消えないものだが・・)。そこで、今回は自分なりにそれなりにリサーチして基準を決めてから購入した。
卓上CNCで選択のポイントとなるのは以下のような点だろう。
- サイズ。最もよく目にするサイズは3018で、安価なものも多い。これより大きくなるとぐっと選択肢が減るし、価格も上がる。また小さい方としては1310などがあるが、作業対象を固定する台(ワークテーブル)には作業対象の周りにクランプなどを配置する必要があるので、作れるものは非常に小さくなってしまう。大きいものを作りたくなることもあるので、意味なくダウンサイジングしないほうがいい。3Dプリンタでもちょっと大きめ(30x30cmのもの)を買って正解だったので、今回は3018サイズを買うことにした。
- 素材と剛性。3Dプリンタと同様にCNCでも、アルミ押し出し材と樹脂を組み合わせて作られているものが多い。しかし3Dプリンタよりも強い力がかかるので、できるだけ樹脂は避けたいところ。通販の商品写真ではアルミ風に見せかけておいて実は樹脂、というものが多いので要注意。上の写真のように、今回はスピンドルモーターを固定する部分やテーブル下のガイドなどがすべて金属製のものを選んだ。今のところ予定はないが、アルミ加工などするときにも剛性は重要らしい。
- オフラインコントローラー。各軸をボタン操作で動かすことと、プログラムの実行(gcodeの実行)をPCなしに行うことができる。各軸にノブが付いているものなら直接動かすことができるが、「ぴったり10mm」などの移動が難しい。また私の場合、パソコンがMacなのでCNCを制御するプログラムが少なく、オフラインコントローラーにSDカードを挿して動かすことにした。データの移動が少し面倒だが、加工時間が結構長いので、PCが専有されずに再起動やら持ち運びやらが自由にできるのは便利。加工音がうるさいので、ノートPCを持って部屋から逃げたくなるし。
- 各軸のノブ。前述のようにオフラインコントローラーがあれば動かすことが可能だが、位置合わせなど、微妙な調整にノブはあったほうが便利。特に、ワークの天面ぴったりに刃先を合わせるのに頂部のネジはよく使う。導通式のZプローブも付いていたが、それがなくてもワークと刃先の間に薄い紙を挟んで、紙が動くか動かないかぐらいにノブで高さを調整することで十分に位置合わせができるので(ワークそのものに合わせられるのでむしろ便利だ)、Zプローブは不要だったかもしれない。
- リミットスイッチ。各軸が端っこまで来たときに自動停止してくれる安全機構として働く。原点出しにも使えそうなものだが、私の使っている機種の場合はリミットまで動くと操作を受け付けなくなるので、安全装置だと思っておいたほうが良さそう。ただし今のところお世話になっていないので不要かもしれない。ワークを固定するクランプに刃先がぶつかったり、ワークが動いてつっかえたりと、他にも不測の事態はあり得るので、リミットスイッチがあれば安全とも限らない。
- スピンドルの出力。彫刻などするのにはたいした出力は不要そうだが、後から強力なものに交換する人も多いようで、そうなると電源なども変更する必要があり、最初からある程度大きいほうが良いと判断して200Wのものにした。