文字を重複して利用する回転式デジタル時計

ポイント

コンセプト

これまでに設計した回転式デジタル時計は部品点数が少なく、見た目もシンプルで気に入っているが、少し難点があった。10種類の数字を円筒上に並べたタイプはどうしても1つ1つの文字が小さくなってしまう。それに対して7セグメントタイプのものは円筒が多く、時刻の表示完了までに最大で4分ほどかかってしまうことがある。そんなところに、ふと面白いアイディアを発見した。以下の動画を御覧いただきたい。

この時計も部品を縦に送ることで7セグメント表示を実現しているが、ポイントはその文字が約半分ずつ重複している点にある。"6"の下半分のマルが"8"の上半分に使われ、"8"の下のマルは"9"の上のマルとして再利用する・・というものである。これにより、送る部品の長さに対して文字の大きさが相対的に大きくなっている。

上の図のような順番に数字を並べるとかなり共用が可能となる。13箇所のうち3箇所は使えなくなってしまうが、文字同士が重なるので結果的に文字の大きさはおおよそ倍になる。文字の順番はばらばらになり、円筒を両方向に回す必要があるが、前に作成した円筒形デジタル時計と同じ原理で動かせられるので、過去の設計を少し手直し(停止位置を10から13に変えるなど)して作成した。プログラムも従来のものがほとんどそのまま使用できた。

結果として上の写真のように、同じ円筒数4個のものでは文字の大きさがほぼ倍になった。さすがに各桁に3つの円筒を用いる7セグタイプ(右端の黒い個体)に比べると文字の大きさは小さくなるが、円筒数が少ないので時刻表示に要する時間は遥かに短い。

従来の時計では文字やセグメントを塗料で塗装する必要があったのに対し、今回はそれを不要にした。セグメントがすべて1つながりになっているので、それを薄くプリントして、円筒の溝に合うように貼り付ければ良い。ただ貼り付け方によっては剥がれてくることがある。その解決策の1つとして、このセグメントを何らかの円筒に巻きつけてからドライヤー等で熱し、冷めてから外すことで丸く癖を付ける方法がある。こうしておけばあまり強力な接着剤でなくても剥がれてくることはない。

例によって3DデータとプログラムはThingiverseinstructablesで公開している。