無限軌道型カレンダー

ポイント

コンセプト

久しぶりにカレンダーを作成した。これまでにも、日時を合わせると自動的に正しい曜日が表示される万年カレンダー日付の高さが自動で揃うカレンダーを作成したが、なんとかして、これらを統合した「すごいカレンダー」を作りたいと考えていた。以前の万年カレンダーは円筒形の外観がユニークで、内部の遊星歯車の働きで曜日が決まる仕組みも凝ったものだったが、通常のカレンダーのようにひと月分の日付がずらりと並んだような表示ではない。また後者はほぼ完全に手動式である。どうせなら、月を合わせれば曜日が自動で合う普通のカレンダーを作りたい。そう考えてこのカレンダーを作成した。

通常の万年カレンダーは上の図のような仕組みに基づくものが多い。横13列に日付を並べ、そのうち7列を枠で切り取って表示する形式である。単純でよいのだが、カレンダーとしてみたときに一番気になるのは「常に31日表示になってしまう」ことだ。小の月や2月もやはり正しく表示されて欲しい。また、左右のスライド位置を決めるとき(曜日を正しく設定するとき)に他のカレンダーを参照しなくてはならないのがイマイチだ(前月の最終日から決めることも可能だが)。外観的にも、左右に不要な飛び出し部分があるのがよろしくない。

曜日を自動設定できるように改良されたものもある。例えばこちらはスライド式の代わりに回転式となっており、年・月を選ぶと曜日が決まるようになっている。しかしやはり、常に31日表示になってしまうのは同じだし、外寸に比べてカレンダー表示が小さい。年を決めると曜日がわかるようになっているが、これはなくても良いと思うのと、うるう年のせいで操作が複雑になるので省略し、こちらと同様に3月1日に設定すれば、その設定がその後1年間有効となるように設計した。

幅を小さくするために、建設機械や戦車によく用いられる無限軌道(クローラ・キャタピラ)のように板を数珠つなぎにし、それに日付を表示する。これを左右に送ればよいのだが、ガイドに沿って滑らせると抵抗が大きくなることが懸念されたので全ての屈曲部にガイドローラーを置き、それらが全て歯車で連動するようにした。これにより無限軌道に強い引張力などがかかることなくスムーズに送ることができる。また通常の万年カレンダーのように日付を配置すると、左にいくほど数字の位置が下がり、一周したときに合わなくなってしまう。そこで日付を斜めに配置し(1日進むごとに文字が 2mm ずつ下がるように設計した)、ぐるりと一周、継ぎ目なく繋がるようにした。中央のガイドローラーは7角形になっていて、1週間分ずれると中央の円盤が1周するようになっている。

このカレンダーでは月を選ぶと曜日が正しく表示されるが、月の長さは自動設定されない。上のダイヤルを4周させると日付の表示が一巡するので、4回転(月が指標に合う4箇所)のいずれかを選んで月の長さ(大・小の月)を正しく表示することになる。

無限軌道部分のちょうつがいは「パチン」とはめ込むだけで組み立てられるようにしつつ、可動範囲が十分大きくなるような設計にした。しかもサポートなしでプリントできる。

例によって3DデータはinstructablesThingiverseで公開している。