機械の同窓会

 

 

 

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姫路城が「平成の大修理」を終えたのを記念して,クラシックカーのイベント「コッパディ姫路」が開催されている・・というのを知り,末娘を連れて見に行ってきた.このイベントは姫路城を発着点として,淡路島を含む兵庫県内を二日間かけてクラシックカーが走行するというもので,戦後の名車にまじり,1920〜1930年代のスポーツカーも多く参加していた.その様子を同年代のイコンタで撮影.大きさは違えど,当時の工業技術の粋を尽くした同級生たちが遠い日本の地で再会したようで,それを築城から400年を経た大先輩が見下ろしていた.

自動車はこの100年で大いに進化した.今や快適な空調が効いた静かな空間の中で,効率よく安全に移動することが出来るようになった.しかしそのかわり,油の匂いや腹に響く鼓動,風の流れを感じることはできない.その日の気温や整備状態によって機嫌が違うなんてこともない.単なる移動のための道具としてみると昔の車に勝ち目はない.しかし動かす対象として,つまり車そのものを目的物として見るなら,どうしても昔の車のほうが魅力的に感じてしまう.数値制御工作機械や産業用ロボットのない時代,よくぞここまで精度よく作りこんだものだ,と作り手の情熱を感じることが出来るのも古い機械ならではである.カメラや建築も同じかもしれない.現代の便利さ快適さは手放せないが,古いものを愛でたくなる気持ちも捨てられない.スマートフォンとクラシックカメラの二刀流で動画・静止画,カラー・モノクロと撮り分けながらそんなことを考えた.

当日は天気が良かったために余裕を持って絞りを絞ることが出来たこともあるが,極めてシャープで整った写真を得ることが出来た.ノンコートのレンズであるが,太陽が画面に入らない限りゴーストが目立つようなこともなかった.スーパーイコンタは距離計が一眼式でないとか,巻き上げが自動巻き止めでないとかいった点で,その後のカメラよりも少し撮影の手順が多いことは否めない.しかし性能面から見てみると,等倍の距離計は40mmもの有効基線長による余裕の精度を誇り,ファインダに備わったアルバダ式ブライトフレームは確実なフレーミングを実現してくれる.小型軽量であることを追求したカメラではあるが,その実,きちんと写真を撮ることに十分に応えてくれる硬派なカメラであるし,クラシックカーほどには敷居は高くない.

 

Zeiss Ikon Super Ikonta 531 (type II), Carl Zeiss Jena Tessar 7cm F3.5
Fujifilm Neopan ACROS,シュテックラー改処方(中川式)

(upload : Mar., 2015.)