古刹

 

 

 


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地元の古刹を訪れた。田舎の里山に抱かれるようにひっそりと佇むその寺は、651年創建と伝わる。しかし、特に有名な寺でもなければ、自動車以外のアクセスも難しく、とうとう滞在中、誰一人として見かけなかった。建物は300年前後を経たものが多く、木目は年輪に沿って風化し、曲がったり傾いたりしているところも多い。路面も日陰は、人が通るべきところまですっかり苔むしている。でも、要所要所からは、大事にされていることが伝わる。寺は観光地でなく信仰の場だということを思い出させられる。

フィルムがすっかり高騰し、長く愛用していた富士フイルムのACROSは、もうとても気軽に使える値段を大きく超えてしまった。ともないフィルムでの撮影頻度も低下し、特にこのような大画面のカメラを持ち出すこともすっかりなくなっていた。しかし、久々のフイルムカメラの新発売に加え、銀塩写真に真剣に取り組んでおられる若い方と話をする機会などもあり、くさっていてはいけないぞ。と、いい刺激を受けた。

調べてみると、確かに富士やコダックのフィルムは大変高騰しているが、海外製のフィルムには今でも安価なものが見つかる。そのようなものの中から、印画紙を使ったことがあるブランド、英国ケントメアのフィルムを購入してみた。1本、860円。確かに昔よりは高いが、最近の円安を考えると、さほど値上がりしているとも言えず、銀塩界隈の状況も捨てたものではないな、という気になった。ただし、フィルムを乗り換えるには、フィルムの階調性や現像パラメータなど、いろいろと勘所を掴んでおく必要がある。そこで、精度の高いスポット露出計を搭載したプラウベル・マキナ67を久しぶりに持ち出すことにした。

あいにく、出かけた頃から空が曇りだした。直射日光が当たる条件よりは撮りやすいというものの、山間にある寺ではかなり暗くなってしまった。そういうときに、マキナのF2.8の大口径は大変助けになる。しかしそれでもまだ暗かったので、急遽、ISO200に増感現像することに決めて撮影。こういう写真ではレンズを十分絞り込みたいところだが、そうはいかず、ほとんどの写真は開放絞り、よくて1段しか絞れなかった。そんな条件でも、マキナの優秀なニッコールレンズは確実に、石段や木目、苔の質感を確実に捉えてくれる。改めて、このカメラの底力を見せつけられた。

ケントメアのフィルムも、なかなかに上々であった。微粒子だが銀量が少ない感じのするACROSに比べ、腰のあるフィルムベースの厚み感ともども、昔懐かしいフィルムの感触があり、なかなか好ましい。

 

PLAUBEL Makina67, Nikkor 80mm F2.8
KENTMERE PAN 100, シュテックラー改処方(中川式), 1段増感(ISO200)

(upload : Jul., 2024.)

 

 


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