リコイルスターター式農機具
多くの農機具では単純な単気筒エンジンが搭載されている.これらは小型軽量化のため,またコストダウンのためできるだけシンプルな構造となるよう作られており,冷却方式は水冷式でなく空冷式,またガソリン供給はもちろんインジェクションでなくキャブレター式である.そしてエンジン始動もセルモーターでなく人力で,ワイヤーを引っ張って始動する.このワイヤーを引く始動方法をリコイルスターターと呼ぶ.
芝刈り機
芝刈り機には手押し式や電動式のものもあるが,やはりパワーではエンジン式にはかなわない.電動式は電線のとりまわしが煩わしく,また充電式のものでは持続時間がかなり短い.そこで安価なエンジン式芝刈り機を購入した.購入価格は約4万円で,有線式の芝刈り機よりは高いが,充電式よりは安いといったところ.そしてなんとこの芝刈り機,小型農機具には珍しく4ストロークエンジンを搭載している.そのためオイルは4ストローク用のエンジンオイルが必要で,購入時には(漏れ防止のため)オイルが入っていないので「必ず始動前にオイルを入れる」よう大きく注意書きが貼られていた.手前に斜めに伸びているのがオイル注入口で,その手前の黒い箱がマフラー.その奥のシルバーの部分がヘッドになっており,OHVのようだ。そしてその向こう側がエアクリーナーとキャブレターとなっている。エンジンの回転軸はもちろん鉛直方向で,エンジンの上に空冷ファンやマグネトー点火のフライホイールやコイル,燃料タンクが乗っている.排気量は159ccで,当時所有していた原付き2種のバイクよりも排気量が大きい(5馬力だそうなので出力は小さいが).
この芝刈り機,若干品質に微妙なところがあり,到着後オイルとガソリンを入れてもなかなか始動できなかった.弟がちょうど来ていたので二人でトラブルシューティングを行い,プラグから火花が飛ぶことや,圧縮があること(プラグの有無と抵抗で判断)などを確認.キャブレターも動いているようだがなぜか始動しない・・と思っていたが,どうもスロットル機構へのリンクに変形があったようで,少しスロットルを余分に引くようにすればエンジンが始動した(ハンドル手前の赤いバーを引くとエンジンが動き,手を離すと自動停止するが,購入直後の状態では赤レバーを引くだけではスロットル開度が不足していた).ステンレスワイヤーで引き量を大きくして解決.以後約5年間,オイルの減少もほとんどなく好調に稼働している.初夏の発育のいい時期には大きなバッグが2回いっぱいになってしまうほど芝生が刈れる.一応自走式で、手前の黒いバーを押し上げると前進するが,たいしたメリットはないので使っていない(手押しで刈っている).
刈払機
こちらはよくあるエンジン式刈払機である.自宅ではあまり使うことがないが,地域の奉仕作業(溝普請:田植え前の時期に用水路周りを地域住民で清掃する作業)に貢献すべく?購入した.これはホームセンターで最も安くで売られていたエンジン式.排気量は21.2ccのようだ.素人なので金属製の刃物は取り外し,ナイロンコード式のカッターに交換している.
こちらは当然ながら2ストロークエンジンで,混合燃料(25:1)の給油が必要である.構造としてはごく標準的で,下が燃料タンク,左がキャブレターで,エンジンの向こう側に冷却ファンが収まっている.当然だが,感心するのは,この手のエンジンは姿勢が激しく乱れても問題なく動くこと.自動車のキャブレターはほとんどフロートバルブ式で,姿勢が乱れると燃料の量に影響があるが,このタイプの農機具では吸気脈動で燃料を吸い上げるダイヤフラムポンプを搭載しているからである.
ナイロンコード式のカッターは回転数を上げなければ十分な遠心力が働かず切れないし,ワイヤーが長くなると空気抵抗も増えるため,金属製の刃物を使っている場合に比べてエンジン回転数が常時高くなる上パワーも要する.なので他の方に比べてやたらとエンジンをふかす(回転数を上げる)ことになり負担が大きいが,そのわりにノーメンテで好調に動作している.
芝刈り機と刈払機は4ストと2ストで燃料もオイルも違い,ストックの管理が面倒(置き場所が必要)なのが玉に瑕である。