反復

 

 

 


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仕事でときどき利用する会議場がある。ことさら贅沢な設計というわけではないが、かといって安普請ということはまったくなく、すっきりシンプルに仕上げるところは仕上げ、要所は石材や木でもてなすことも忘れられていない。大規模な施設のため物量の迫力もあり、奇をてらわない素直な設計で、ここで開催するイベントはいつも、ゲストに気持ちよく過ごしてもらえているような気がする。昼休みが割とたっぷり取られていたこともあって、合間にその魅力を少し切り取ってみた。

これまで、35mm判ではオリンパスXAコンタックスTなど、小型の自動露出レンジファインダーカメラをよく使用していた。しかし最近、これらの狂いが大きくなってきており、調整でも修正できなくなってきている。購入後一度調整したから、前はもっと合っていたのにな、と思ったが、考えてみたらこれらのカメラを買ってから20年ほど暮れていることに気づいた(このモノクロ写真ギャラリー photogradationも2006年開始なので、もう18年だ)。新しい方のコンタックスTだって1984年発売なので、気づいてみれば40年選手、そのうち手元で半分ほど過ごしたことになる。そりゃあ劣化も進むし、買ったときと調子が違ってもおかしくない。

ともあれ、これらの自動露出カメラは電子制御、露出計部分が狂ってきたら使用が厳しくなる。これよりずっと年長のニコンS2/SPイコンタなどが変わらず快調なのとは大違いだし、フルメカニカルカメラは分解洗浄で調子を取り戻しやすく、電池切れの心配を度外視しても、長い付き合いができそうだ。そのようなわけで、最近急に、小型軽量なメカニカルカメラを探索、研究していた。

そのような中で見つけたのが、このリコー500G/GS/GXシリーズである。メカニカルシャッターに、露出メーターの指針を押さえる方式のシャッター速度優先AEという、このころの量販カメラの定番設計だが、自動露出とマニュアル露出の切り替えが可能なことに加え、マニュアル露出時も露出計が動作する。仕組みは違うが、ハイブリッドシャッターを搭載したニコンFM3Aと同じようなことができるわけだ。このような芸当ができるカメラは他にもいくつかあるが、この500GシリーズはコニカC35以降の小型化された世代とあって一回りは小さく、軽くなっており、適度な明るさの 40mm F2.8 レンズを搭載しているためにレンズ突出も小さい。

廉価なカメラのため捨てられることも多いと思われるが、それでもそれなりの数が売れたのか、探すのは難しくない。その中から、敢えて整備が必要そうだが外装がきれいなものを選んで購入した。なんと、リコー エルニカFとの2台セットで、送料込み1,000円。送料だけ負担して、タダでもらったようなものだ。しかし実際にはファインダが曇っていたりモルトが失われていたりするだけで、簡単な清掃・調整で完調になった。みたところ、一切の分解整備歴がなかったのも良かった。内部の電子部品もまだそれほど小型化されておらず、調整は容易だし、これなら交換部品も手に入るかもしれない。

そうして撮影したのがこれらの作例である。この頃(1970年代)は計算機によるレンズ設計技術がかなり進んでおり、標準域の焦点距離で、ほどほどの明るさのレンズは性能に不安がない。それはわかっていたが、それにしても素直な、よい写りだ。改めて見てみれば、レバーやダイヤルなど操作パーツの配置も全て定番に沿っており、迷うところや違和感もなく、とても自然に、気持ちよく使用できる。ファインダの視度も日本人向けに設定されているのか、かなり近視向けの設定で、自分にとっては非常にシャープでクリア。マットな質感のアルマイト仕上げも良い。「こんなにいいカメラがあったなんて」という驚きとともに、一気にお気に入りのカメラになった。

 

RICOH 500GS, RIKENON 40mm F2.8
Fujifilm Neopan ACROS,シュテックラー改処方(中川式)

(upload : Oct., 2024.)

 

 


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