消失点
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平行線はどこまでいっても交わらないが,カメラで撮影するとその交点が現れる.それを消失点という.そのままの姿で,いつまでもずっとありそうなものでも,見方を変えると,いつかは消失するものだろう.しかし幸いなことに,これらの古びた,レールや枕木の廃材で作られた柵は物心ついた頃からずっとここにあり,徐々に風化しつつも失われずに,脳細胞の奥底を刺激し続ける. ここのところ,すっかりスーパーバルダックスにはまってしまい,部品取り用を含めて4台も集まってきてしまった.最後に来たこのモデルは,3群3枚のトリプレット型レンズを搭載した他のモデルとは違い,テッサー型のEnnitを搭載したモデルだ.Ennaは少々マイナーなドイツのレンズメーカであるが,使ってみると,開放から思いのほか,繊細な像を結ぶレンズである.上の写真では,最後の作例が開放絞りで,他はすべてF5.6である.開放ではシャープな芯のまわりにわずかに柔らかいハロが出て,いかにも使い出のある開放描写を見せてくれる.距離計の精度も十分に高く,ここには掲載していないが,人物写真でも,繊細な髪の描写など上々の出来である.ただし像面湾曲が割と残っており,遠景を撮影すると,正方形画面の内接円のあたり(像高25-30mm付近)は,2段ほど絞っても若干甘い.例によってレンズの特性をよく把握して使うと味の出るレンズである.
Balda Super Baldax, Enna Ennit 8cm F2.8
(upload : Jun., 2015.)
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