ゲーテの風景
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今回のドイツ出張ではいくつかの小都市に立ち寄った.国際会議に参加したブラウンシュバイクは工業と学術分野で存在感のある街だが,フランクフルトやミュンヘン,ベルリンのようにニュースになることが少なく,日本ではあまり知られていない街だと思う.一方,その前に立ち寄ったヴァイマル(ワイマール)はそれより遥かに小さな街だけれども,その規模の割にとても知名度が高い.それはもちろんワイマール憲法によるところが大きく,さらにゲーテやシラーなどの文学,建築・デザインで有名なバウハウス大学やフランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学など文化面でも知られる街である. ヴァイマルではバウハウス大学に知人を訪ね,滞在は1日に満たない短いものであったが,それでも夕刻に少し街を散策する機会を得た.ドイツが東西に分断されていた頃ヴァイマルは東ドイツに属し,そのためもあって旧西ドイツ地域とは違う風景が広がっている.都市部は徒歩で十分回れるぐらいの小ささだが,その道路のほとんどが石畳で覆われ,多くの建築物も歴史を感じさせるもので,とても落ち着いた佇まいである.そして都市部のすぐ脇にはヴァイマル城とその庭園地帯(イルム公園)が広がり,一刻を争うビジネスがめまぐるしく動く旧西側地域とはまったく違う,ゆったりした時の流れと心地よい自然があった. イルム公園はヴァイマルに住んでいたゲーテが愛した公園で,公爵からゲーテに贈られた山荘では自然をうたった詩が多数生まれたという場所である.そしてもちろん,ヴァイマルの市民にもまた親しまれているようで,川面近くに集う家族や散策する人たちなど,皆が思い思いにその自然と日差しを楽しんでいた.環境あっての文化,ということを改めて知ったひとときだった. このフォトギャラリーの写真は基本的に,ノートリミング・ストレートで掲載している.つまり撮影したカメラの画角のまま周囲を切り落とさず,また写真のコントラストや明るさを部分的に調整するようなこともしていない.一方,写真展では時として覆い焼きや焼き込みを使ったり,特殊な技法や材料を使った印画をしている.2010年6月の出品作「素描」の制作に使ったネガを4点掲載したので,そのプリントと比べてみるのも面白いと思う.
Fujifilm FUJICA GS645 Professional, EBC FUJINON S 75mm F3.4
(upload : Jun., 2010.)
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