時針が浮いた文字盤
ポイント- 外枠につながっておらず、浮いたように見える時針
- 従来の Hollow Clock, Hollow Clock 2 の替え文字盤として利用可能
コンセプト
Hollow ClockやHollow Clock2はシンプルながらも見た目に魅力的で、Thingiverse でも多くの Like を頂き、多くの人が作ってくれている。作者冥利に尽きるが、1つ、やむなく妥協した点があった。時針の処理である。時針は当然にして分針よりも短いので、本来であれば周囲とはつながっているべきではない。太さや塗り分けでごまかしてはいるものの、なんとかできないか。そのトライの1つ目がこの文字盤キットである(そして、後にHollow Clock 3として、よりシンプルな形に発展した)。
時針を回すには分針を 1/12 で減速すれば良い。当たり前だが、実は歯車があるだけではダメである。歯車の軸を固定する部分が回ってしまうと、速度の変換ができない。なので Hollow Clock シリーズの場合、中央部のギアを台座から支える部材を追加する必要がある。しかしそれでは,まさに台無し。なんとかその支えをなくせないか。と考えて、自重でぶら下がる構造を考えた。そうしてできたのがこの Flying Hands Kit である。
時刻合わせでは、時針とギア全体を、前述したように大車輪するように1回転させると、きっちり1時間、進めたり戻したりできる。ただし時計回りに回すと1時間遅れるという反対の関係になっている。この文字盤は分針の円盤だけ回せば時計として成立するので、そのまま Hollow Clock ないし Hollow Clock 2 に取り付けられるバージョンのほかに、減速ギアを内蔵していないシンプルな台座も設計した。
単純だし、割と当たり前っぽい構造だが、作ってみたら、時針がピンと斜め上向きに立ったりして、思った以上に浮遊感があった。全く歯車などが見えないミニマルな造形もよいが、ギアむき出しのメカニカルな造形にも人気があり、その点で、こういうふうにちょっとギアが見えているのも悪くない。
この、重力を用いてギアを規制するアイディア、新発明だな・・と悦に入ってネットを調べていると、なんとJefferson Golden Hourという、Hollow Clock に似た時計(ただしがラス板で針が支えられている)が、同様に重力で時針を動かすメカを搭載していることを知った。よって時刻合わせ方法も同じである。普通はガラス板として、回転するものと固定したものの2枚用いるところ、この Golden Hour では1枚で済ませるのに成功している。要するに同じ仕組みである。これを見つけて、まさに「日の下に新しきものなし」を思い知ったのであった。
例によって3DデータとプログラムはThingiverseで公開している。