小型・軽量 35mm レンジファインダーカメラ購入ガイド

2006年6月(2024年10月改訂)

デジタルカメラ全盛の今、35mm フィルムカメラの長所と美点は、(1)デジタルカメラとは異なる写真の風合い、(2)中判カメラでは得られない小ささ・軽さ、(3)電池がなくても動作する安心感と製品寿命の長さ、などにあるのではないだろうか。

このうちカメラの大きさ・重さについて考えると、一眼レフカメラよりも距離計連動型カメラ(レンジファインダーカメラ)のほうが有利になる。一眼レフカメラはプリズムやミラーボックスを持つ構造上、小型化には限界があるからだ。また一般に、電子制御が進んだカメラに比べ、フルメカニカル制御のカメラは整備がしやすく、清掃・注油で調子を取り戻しやすいと言われている。そこでここでは距離計連動型カメラについて、その大きさ・重さと、メカニカルシャッター搭載の有無を中心に見ていくこととしたい。(小型軽量の目測機についてはこちらへ。)

軽量な距離計連動型カメラ

以下は35mmフルサイズ距離計連動型カメラのうち、 のいずれかに該当するカメラの、軽さ順のリストである。他のカメラも含んだリストはこちら(google spreadsheet)

機種レンズ重さ高さ厚みマニュアル露出自動露出
オリンパス XA35mm F2.8217g102mm65mm40mm不可絞り優先
ペトリ 35RE/RE-II38mm F2.7/2.8230g100mm68mm52mm単速シャッタープログラム
アグファ Optima 153540mm F2.8260g104mm69mm56mm不可プログラム
コンタックス T38mm F2.8270g98mm67mm33mm不可絞り優先
ミノルタ HI-MATIC F38mm F2.7350g113mm73mm54mm不可プログラム
フォクトレンダー VF135
ローライ XF35
40mm F2.3354g112mm71mm不可プログラム
フジカ GER38mm F2.8355g110mm70mm53mm不可プログラム
SEARS 35rf40mm F2.8362g111mm71mm55mm連動露出計シャッター速度優先
コニカ C3538mm F2.8370g112mm69mm50mm不可プログラム
オリンパス 35RC42mm F2.8410g109mm70mm51mm露出計停止シャッター速度優先
コニカ C35FD/Auto S338mm F1.8410g112mm71mm61mm絞り開放固定シャッター速度優先
リコー 500G40mm F2.8420g111mm71mm56mm連動露出計シャッター速度優先
ボルシー B244mm F3.2426g108mm80mm57mm露出計なし不可
PaX3545mm F3.5450g110mm60mm60mm露出計なし不可
ミノルタ HI-MATIC 7sII40mm F1.7460g115mm72mm59mm露出計停止シャッター速度優先
ペトリ RACER45mm F2.8
45mm F1.8
480g
530g
125mm78mm72mm連動露出計不可
ミノルタ CLE40mm F2他480g125mm78mm60mm露出計停止絞り優先
ライツミノルタ CL40mm F2他485g121mm76mm60mm連動露出計不可
オリンパス 35RD40mm F1.7500g114mm71mm59mm露出計停止シャッター速度優先
ライカ DII + エルマー50mm F3.5520g133mm67mm42mm露出計なし不可
ミノルタ MINOLTINA-S40mm F1.8540g128mm74mm60mm連動露出計不可
ミノルタ AL-E40mm F1.8540g128mm74mm60mm連動露出計シャッター速度優先
コダック Retina IIa50mm F2553g120mm83mm44mm露出計なし不可
コダック Retina Automatic III45mm F2.8573g125mm95mm62mm連動露出計シャッター速度優先
オリンパス 35SP42mm F1.7600g129mm75mm61mm非連動露出計プログラム
CZJ Werra V/matic50mm F2.8他605g116mm75mm77mm連動露出計不可
キヤノン Canonet G-III 1740mm F1.7620g120mm76mm60mm露出計停止シャッター速度優先
ツァイスイコン Contessa3545mm F2.8620g130mm85mm50mm非連動露出計不可
フジカ コンパクトデラックス45mm F1.8626g126mm78mm69mm連動露出計シャッター速度優先
コダック Retina IIIC50mm F2645g125mm89mm48mm非連動露出計不可
凡例 実測値 電池切れ時撮影不可 沈胴 使用不可 マニュアル時露出計使用不可 作画自由度小

絞りのコントロールによる作画の自由度を得るためには、絞りとシャッター速度の両方が自由に変更できるマニュアル露出か、絞り優先またはシャッター速度優先の自動露出が必要である。プログラム露出では、シーンの明るさによりシャッター速度と絞り値の両方が同時に決まってしまうため、被写界深度を深くしたり、逆に背景をぼかしたりするような自由度がない。

マニュアル露出が可能なカメラの多くは、機械制御式(メカニカル)シャッターに露出計を組み合わせているため、電池切れでも露出計が停止するだけで撮影は続行できる。例外はミノルタCLEで、マニュアル露出も電子制御であるため、電池が切れると一切の撮影が不可能になる。逆にセレン光電池式の露出計を搭載したカメラ(上の表では Retina Automatic IIIが該当)は電池が不要なため、電池切れ時にも露出計や自動露出が動作する。

露出計には大きく分けて、非連動露出計(絞り・シャッター速度の双方から独立したもの)と連動露出計(絞り・シャッター速度のどちらか、または両者に連動して指針等が振れるもの)がある。後者には定点合致式などさらに細かく分かれるが、それよりはファインダ内で絞り値とシャッター速度の双方が確認できるかどうかのほうが影響が大きい。そうでない場合は結局、ファインダから目を離してダイヤル等を直接見る必要があるためである。自動露出時は露出を指針等で確認できるのに、マニュアル露出に切り替えると露出計が停止してしまうカメラが1960年代以降のカメラに多く見られる。

距離計連動型カメラで、機能ごとに軽いものを挙げると

外観による大きさ比較


左から順に、コンタックスTニコンミニレチナIIa, コンタックスTvs、レチナIIIc, ニッカIII, ヴィテッサアルコ35オートマットDニコンS3

距離計連動型35mmカメラの歴史と栄枯盛衰

黎明期〜全盛期(1950年代まで)

カメラへの距離計搭載は1916年にコダック オートグラフィック・スペシャルという大きなカメラから始まる。その後しばらくはマイナーな存在であったが、1932年、ともにレンズ交換式高級35mmカメラであるライカII(ライカD)とコンタックスIに距離計が搭載されることで、ピント合わせの手段として一気に認知度が高まった。


ニッカIII + Nikkor-Q.C 5cm F3.5 沈胴


距離計連動式ニコン(S3、SP、S2)

いわゆるバルナック型ライカは二眼式(ファインダと距離計が別)で、国内では上のニッカのほかキヤノンやレオタックス、海外ではリードやカードンなど多くの模倣機が作られた。一方、本家ライカは1954年、設計を一新した多機能機、ライカM3を発売した。このM3の距離計は今もって最高のものであるとする意見が多い。またニコンは内部構造はライカに倣いつつも、コンタックスと同様のマウントに一眼式(距離計組み込み)ファインダを搭載した独自のカメラを製造し定評を得た。これらは各メーカの最上位機種として覇を争ったが、1959年発売の「ニコンF」に代表される一眼レフに急速に取って代わられるようになり、一部は1960年代以降も継続生産されるも、急速に市場縮小していった。


コダック レチナIIa


フォクトレンダー ヴィテッサ


アルコ35オートマットD

一方、レンズシャッター式カメラにも距離計搭載が進む。コダックはいち早く1936年に距離計を搭載したレチナIIを発売するが、多くの35mmカメラに搭載されるようになるのは戦後である。ドイツでは上記レチナのほかフォクトレンダーのヴィテッサやプロミネント、ツァイスのコンテッサなどがあり、多くは蛇腹式でレンズをシャッターごと畳める機種が多いが、後には多機能化の代償として固定式になったものが多い。国内ではコニカ、アイレス35、ミノルタAなど多くのカメラが発売された。

このころの国産機の主な差別化要素はブライトフレームのパララックス補正などのファインダ機能と、露出計の搭載が中心で、小型軽量化にはあまり関心が寄せられなかったため、大ぶりで重いカメラが多い。

低廉化・自動化(1960年代)

1960年代の距離計連動型カメラに大きなインパクトを与えたのは、1961年発売のキヤノネットである。2万円を切る低価格でありながらシャッター速度優先AEを搭載し、他メーカが発売反対運動を起こすほどであった。実際、競争力を失い退場を迫られたメーカも多い。そのような中、コニカ、富士写真フイルム、ミノルタ、オリンパス、マミヤ、ヤシカ、リコーなどの大手メーカは食らいつきながら対抗機種を多く輩出し、本格派の一眼レフに対し大衆機としての距離計連動型カメラの立ち位置を確立していった。また、海外メーカはこれらの日本メーカの競争に対抗できず、倒産や吸収合併などを経ながら撤退していく。


リコー500GS(1973)と、フジカ コンパクトデラックス(1968)

このころの距離計連動型カメラの売りは自動露出と大口径レンズであった。それに対し、一眼レフカメラで自動露出が普及するのは1970年代からである。また、このころはまだ特にカラーフィルムの感度が低く、廉価なカメラであってもF2を切る大口径レンズを搭載したカメラが一般的であった。上の写真で、1960年代のフジカコンパクトデラックスはF1.8のレンズを搭載するが、600gを超える。さらに高機能なカメラだと、1kgに迫るものもあった。

小型軽量化・プラスチック化とストロボ対応(1970年代)


SEARS 35rf

小型軽量化の大きな流れのきっかけとなったのは、「じゃ〜に〜コニカ」のニックネームで知られるコニカC35である。F2.8レンズを搭載するとともに露出制御をプログラムAEに限定することで、300g台中盤の重さを実現し、好評を博した。またこのころから次第にプラスチックがカメラに用いられるようになり、軽量化が進められる。しかし、これらの小型軽量化は電子制御の導入と同時に進行したため、電池が切れると動作しないカメラが多くなる。コニカC35と同クラスのカメラであるフジカGER、ミノルタHI-MATIC Fなどは内部のフレーム等にもプラスチックが使用されるようになり軽量であるが、機械式のシャッター速度制御機構が取り払われ、電子回路と電磁石でシャッター制御を行うため、電池切れでは正常に動作しない。

フラッシュ対応もカメラの仕様に大きな影響を与える。1960年代後半から、フラッシュ撮影時に適正露出を与えるためのフラッシュマチック機構(距離に合わせて絞りを開閉する機構)を搭載するカメラが増え、そのかわりにマニュアル露出が不可能なカメラが増えていく。要するに、絞りをフォーカスリングに連動させる機構や、ガイドナンバーを設定するためのリングを搭載する都合上、絞りを手動設定することができなくなってしまうのである。

さらにコニカC35EF(ピッカリコニカ、1975年)以降、このクラスのコンパクトカメラにはストロボが内蔵されるようになり、マニュアル露出の搭載やメカニカル制御からはさらに遠ざかっていく。ストロボ搭載のために室内撮影でも大口径レンズが不要になり、被写界深度が深くなることで距離計も省略されるようになっていく。


左 : リコー 500G, 右 : SEARS 35rf
フレームが樹脂化されていることが、フィルムレールの色で分かる

このように、カメラの電子化と軽量化は並行して進行したため、電池がなくてもマニュアル露出で撮影ができる機械式シャッターを備えたカメラで、軽量なものは限られる。これにはオリンパス35RCとリコー 500Gが該当し、特に後者はマニュアル露出モードでも露出計が動作する使いやすいカメラである。ただしこのカメラはまだほとんど樹脂化されておらず、フレームや外装はアルミ製で、実測419.5gである。それに対し、ほぼ同じ機能を保ったままフレーム等を樹脂化した SEARS 35rf(台湾リコー製造)は実測362gと約60gもの軽量化に成功し、メカニカルシャッターを搭載した35mmレンジファインダーカメラでは最も軽いカメラであると考えられる。

オートフォーカス化(1980年代)

この領域におけるコニカの貢献は大きい。1977年に、初めてオートフォーカスを搭載したコンパクトカメラ、コニカC35AF(ジャスピンコニカ)が発売され、その後は一気にオートフォーカス搭載へ向かうことになる。オートフォーカスの分野でも、コンパクトカメラは一眼レフカメラ(α7000:1985年)に対し10年近く先行して普及が進んだ。その結果、距離計連動型カメラは急速に数を減らしていく。


オリンパスXAコンタックスT


ミノルタCLEとライカM6

そのようななか、1980年前後には距離計連動型カメラの存続をかけた動きが見られる。オリンパスは1979年、超小型のカプセル型カメラXAに距離計を搭載した。ライカは一眼レフと並行して脈々とM型ライカを作り続け、一部はミノルタとの協業で小型のライカCL/ライツミノルタCL(1973年)を送り出すが、ミノルタはその経験を活かす形で1981年、独自にライカMマウント初の自動露出カメラ、ミノルタCLEを発売する。ヤシカはカールツァイス財団との協業の成果として、伝統のコンタックス銘を冠し、レンズが沈胴する高級カメラ、コンタックスTを1984年に送り出す。しかし、これら3台はそれぞれ、オリンパス、ミノルタ、ヤシカ(京セラ)が世に送り出した最後の距離計連動型カメラとなってしまった。

プラスチック化の進展と電子回路の小型化などにより、1980年前後にはオリンパスXA,アグファ Optima 1535 Sensor, コンタックスT、ペトリRE-IIなどが200g台となり、これらが全期間の中で最も軽量な距離計連動型カメラであると言える。ただし、いずれも自動露出のみで、動作に電池が必須のカメラである。

距離計連動型カメラ復古の時代(2000年代)

1990年代は距離計連動型カメラの冬の時代で、ほとんど全く新製品が登場しない期間であった。ライカは露出計をスマートに内蔵したライカM6を1984年に発売するが、その後、ようやく自動露出を搭載したライカM7が発売される2002年まで18年間、マイナーチェンジに終始する期間が続く。

しかし2000年になり、カメラ業界全体がデジタルカメラへと大きく転換する中、最終期のフィルムカメラとしてレンジファインダーカメラが相次いで発売される。具体的には、コニカヘキサーRF(1999年)、コシナ製のフォクトレンダー・ベッサR(2000年)とそれをMマウント化したベッサR2(2002年)、ツァイスブランドを冠したツァイス・イコン(2005年)など、ライカと互換性のあるレンズ交換式のカメラが多く登場した。またニコンは1958年のニコンS3をほぼそのまま復刻した、ニコンS3 YEAR2000 Limited edition を2000年に限定販売し、続いて2002年にその色違いを、さらに2005年にはニコンSPを復刻した。他に35mmフィルムを用いるカメラとしては、幅65mmのパノラマ写真が撮影できるフジフイルムTX-1(1998年)も距離計連動型カメラである。

しかし、この「最後の宴」が終わった後は、フィルムユーザの急速な減少に伴い、フィルムカメラ全体の終息とともに、これらのカメラも順次販売が終了した。現在、元祖・ライカのみが極めて高級な趣味性の高い商品として、ライカM6を復活させるなど、フィルム用の距離計連動型カメラを脈々と作り続けている。

この時代の距離計連動型カメラは全てレンズ交換式のフォーカルプレーンシャッターカメラであるため、1970〜80年代のものよりは重くなる。中では、ベッサRが最も軽量で、ミノルタCL/CLEに遜色ない軽さとなっている。

各タイプの特徴

ここで紹介するカメラは、大きく分けて以下の4種類となる。

距離計連動式カメラ

その他(参考) それでは、これらの各カメラについて詳しく見ていこう。

レンズシャッター式折り畳みカメラ

主に1950年代ごろまで多く見られた形式であり、上の写真では、レチナIIa、レチナIIIcヴィテッサアルコ35オートマットDが該当する。また1984年製であるが、コンタックスTも沈胴式で携帯時には大変薄型になるカメラである。

レンズ交換
レンズ交換ができるものもあるが、レンズ部分にシャッターが組み込まれているため、ほとんどの機種ではレンズ交換できない。今回紹介する5機種の中では、レチナ IIIc が前玉を交換することで 35mm と 80mm に変更することが出来るが、距離計が連動しないため使い勝手は良いとは言えない。

シャッター形式と露出計、重さ
1950年代のレチナやヴィテッサ、アルコは蛇腹を用いており、シャッターはシンクロコンパーか、それに近い形式の「機械式レンズシャッター」を搭載している。これはメカ部の外径がかなり大きいため、レンズが沈む部分を大きくあける必要があり、どうしても小型化には限界がある。中ではレチナ IIa が最も小さい。アルコ、レチナ IIIc, ヴィテッサでは、縦横比の違いがあるが、全体としては大きさと重量に大差はない。

コンタックスTは電子式シャッターを用いているために沈み込むレンズの部分が圧倒的に小さく、また豊富な機能(自動露出やセルフタイマーなど)は電子回路技術のために高度に集積化されているため、全体も非常に小さくなっている。他に露出計が備わるのはレチナ IIIc であるが、この露出計はシャッター速度と絞りに連動しない。ヴィテッサにもほぼ同じ大きさで露出計が内蔵されたモデルがある。

重量も、コンタックスTの 270g が圧倒的に軽く、次に IIa の 530g。他の3機種は 650g 前後で大差はない。

使い勝手
ピント合わせは、レチナとコンタックスTはレンズの部分で行う形式であるが、コンタックスは操作部が小さくやや操作しづらい。そのかわりレチナは無限遠に合わせなければ畳むことが出来ない(コンタックスTはいつでも畳むことが出来る)。アルコは左手側のノブで、またヴィテッサは右手側のノブでピント合わせを行うが、沈胴式カメラは一般に出来るだけレンズの部分に手を触れたくないので、この種の方式は安心して扱うことが出来るという利点がある。

巻き上げは、レチナ IIa とアルコがトップレバーであるため最も使いやすい。コンタックスは背面にレバーがあり、引き出しにくいが、巻き上げ角は小さく扱いやすい。ヴィテッサのプランジャーも意外と扱いやすく、ホールドしたまま巻き上げられるので具合がよいが、慣れが必要である。レチナ IIIc では底面のレバーを操作する際に持ち替えが必要になりやすく、ホールドが不安定になる。

レンズ
1950〜60年代は特にカラーフィルムの感度がまだ低かったため、1970年代以降のカメラよりも大口径のレンズが備わっている。レチナやヴィテッサのレンズはどれもF2クラス(アルコは F2.4)と明るく、5〜6枚構成(ガウス型)となっていて性能も高い。どれも 50mm レンズだが、距離計連動カメラは一眼レフカメラに比べて寄りに弱い(最短撮影距離が長い)ため、広角レンズよりも小さいものが撮影しやすく一長一短である。また、オートアップという接写アクセサリを用いることで近接撮影が可能になる機種もある。なおアルコはなんと本体のみで 35cm まで距離計が連動するというものだが、視差や覗き方による誤差の問題があるので、一眼レフのようにピントを精密に合わせるのは難しい。1980年ごろの機種であるコンタックスTは 38mm F2.8で1段ほど暗いが、距離計を用いずに目測で使えるシーンがより広い。

類似機種
レチナやヴィテッサのライバル機種として、ツアイスのコンテッサ、アグファのカラート36などが挙げられる。デザインや距離計の形式、たたみ方などに違いがあるが、共通点として、後期のモデルになると露出計がついているものが多い。ただし正確な値を示さなかったり、劣化していたりすることがあるので、あまり大きな期待はしないほうがよい(個人的にはないほうがよいと思う)。1960年頃から、露出計との連動や自動露出の搭載と引き換えに折り畳めない、固定鏡筒のモデルが増えてくる。これについては次項で取り上げる。

レンズシャッター式固定鏡筒カメラ

距離計連動カメラ全盛期の1950年代からコニカIIIやアイレス35-IIIシリーズなど、多くのレンズシャッター式距離計連動カメラが発売された。これらはフォーカルプレーン式カメラより安価であったが、当時の高級感に関する価値観の影響もあり、あまり小型化・軽量化は進んでいなかった。その中で小型軽量なカメラとしては、国産ではPaXシリーズ、海外では米国製の廉価カメラであるコダック・シグネット35やボルシーB2などが挙げられる。

1961年に自動露出を備えたキヤノネットが安価で発売され好評を博すことで、これらのレンズシャッター式距離計連動カメラは本格・高級路線の一眼レフに対し、簡単操作で安価なカメラとしての地位を確立していく。価格競争によりいくつかのカメラメーカが経営不振に陥り退場する中、コニカ・ミノルタ・オリンパス・ヤシカ・富士写真フイルムなどが食らいつき、数多くのライバル機を発売した。ただしまだこの頃はカラーフィルムの感度が低かったことやスペック競争が激しかったことから、レンズにはF1.7〜F2.0クラスの明るいものが搭載されたカメラが多く、依然として700g前後の重くて大きなカメラが主流であった。

次の変革のきっかけとなったのは1968年発売のコニカC35である。「じゃ〜に〜コニカ」と銘打ったC35はレンズをF2.8 に暗くするかわりに360gの小型軽量化を実現しヒットした。再び他メーカは追随の動きを見せ、350g前後のカメラが多く発売される。これら小型軽量なカメラの範疇に入る機種としては、このコニカC35のほか、ミノルタ HI-MATIC F、フジカGER、リコーエルニカFなどがある。

上記の機種は簡単操作のためプログラムAE専用シャッターを搭載するが、シャッター優先AEや絞り優先AE、さらにはマニュアル露出が可能な機種も存在する。特にマニュアル露出モードは電池切れでも動作する機種が多く、キヤノネットシリーズのほか、軽量なものとしてはオリンパス35RCとリコー500G/GS/GXが挙げられる。

さらに1970年代も終盤になると、ボディ全体が樹脂で作られ、シャッターも専用の超小型のものが使用された小さなカメラが現れる。中ではオリンパスXAが距離計連動式・絞り優先AEと高スペックであるが、その他の機種は軒並み距離計が省略され、目測カメラとなる(ミノックス35、リコーFF-1、チノンベラミ、コシナCX-2など)。

レンズ交換
原則、このクラスのカメラではレンズ交換ができるものはない。より時代を遡れば、1950年代にレチナIIISやヴェラIII、フォクトレンダー プロミネントなどのほか、国産でもトプコン35A/Bやコーワ・カロ140、アイレス35Vなどレンズ交換式レンズシャッターカメラが多く見られたが、自動露出化・低廉化の流れの中で1960年ごろには消滅した。

形式、露出計、重さ
前述のように1970年ごろまでは大口径レンズを備えるかわりに重い機種が多く、総じて600g前後、ものによっては1kgに迫るものもある。それらに対して機種は限られるが、F2.8クラスのレンズを搭載した1970年頃からのカメラは、プログラムシャッターと距離計を搭載したものでも330〜360g程度の小型軽量な機種がいくらか存在する(コニカC35、ミノルタ HI-MATIC F、フジカGER、リコーエルニカFなど)。さらにコニカC35FDはF1.8レンズを備えながら約410gと軽量で、シャッター速度優先AEのため画作りの自由度も高い。他にフォクトレンダー VF135/ローライ XF35(基本的に同一)がF2.3のレンズを搭載しながら約355gで軽量であるが、プログラム露出のため画作りに利用するのは難しい。

マニュアル露出が可能な機種で軽量なものとしては、オリンパス35RC(410g)、リコー500G/GS/GX(420g〜)がある。後者はマニュアル露出時にも露出計が動作する。

さらに後のカメラではプラスチックの採用により300gを切るようになるが、これらの中で距離計を搭載したものはオリンパスXAコンタックスT、ペトリRE-IIぐらいである。

使い勝手
1970年頃以降の軽量なタイプはほぼすべての機種に自動露出が備わっており、ファインダにもブライトフレームが備わるためフレーミングもしやすい。シャッターボタンの位置なども定番の位置に統一されるが、フィルム巻き上げについてはいくらか特殊な機種があるので注意を要する。フィルム装填も裏蓋が大きく開くため容易で、キヤノンのQLのようにさらにフィルム装填を簡単化した機種もある。折り畳みや沈胴がないが、そのぶん予備動作がなく、速写性にも優れている。

レンズ
廉価な機種が多いが、設計技術の進展により優れたレンズ性能を誇るものが多い。コーティングもシングルコーティングが多いものの、レンズ構成枚数もさほど多くないため大きな問題にはなりにくい。むしろ、鏡筒後部(フィルムゲート付近)の内面反射対策などのほうが画質への影響が大きいと思われるが、この点はユーザ自身で改善することができる場合も多い。焦点距離も38〜45mmの範囲のものが多く、通常撮影では50mmよりも使い勝手が良い。

この種のカメラで問題となるのは絞り形状である。プログラムシャッターを搭載したものではシャッター羽根が絞りを兼ねるものが多く、絞りの開口形状がいびつな形になるものが多く見られる。シャッター速度優先AEや絞り優先AEが付いたものでは、絞りとシャッターの羽根が独立しているが、依然として絞りが2枚羽根のものも多いため、気になる場合はよく調査した方が良い。例えばオリンパスXAも絞りが2枚羽根で、開口形状は基本的にいびつな長方形になってしまう。それに対し、コンタックスTには7枚羽根の虹彩絞りが採用されている。

フォーカルプレーンシャッター式距離計連動カメラ

ニコンやコンタックス、ライカなどがあり、特にライカと互換性のあるMマウントを備えたカメラに軽量なものがいくらか存在する。また、バルナック型ライカとその互換機も小型軽量である。

レンズ交換
多くの高級機はレンズ交換に対応している。ライカはLマウントと呼ばれるネジ式のマウントをまず採用し、これはニッカなど、いわゆる「ライカコピー機」と言われる各国の類似機種にも搭載され互換性がある。ライカは次に、1954年発売のM3に始まるM型ライカに移行した。これに搭載されたMマウントはレンズ交換が迅速で、現在もM型ライカは生産が続けられているため、最新鋭のレンズも入手できる(極めて高価であるが)。M型ライカには、近年にわたりいくつか互換性のあるカメラが存在する(後述)。

もう1つのマウント形式としては、ニコンとコンタックスが採用したマウントが有名である。ただしニコンとコンタックスは、見た目や寸法はほぼ同じでありながら異なる基準に基づいており、厳密には互換性はない。こちらも広角から望遠まで多くのレンズが供給されたが、1960年代前半には生産を終えているために、M型ライカほどの豊富なバリエーションは存在しない。例えば現役期のレンズにマルチコーティングされたものは存在しない。ただし、ニコンが2000年から3回に分けて復刻したニコンS3やSPに組み合わせられていたレンズ(50mmF1.4, 35mm F1.8)のほか、コシナがフォクトレンダーブランドで発売した一連のレンズなどが存在する。

形式、露出計、重さ
Lマウントを装備した「バルナック」型のカメラは小型化を強く意識して設計されており、このページがテーマとする「小型・軽量」という意味で優れたカメラが多い。上の写真でも分かるように、レンズ固定型のカメラに比べても大きいというほどのことはなく、また、背の低さは随一である。ライカコピー機のうち、キヤノンやニッカは独自の改良を重ねたため、後期には露出計を装備しているものや、距離計の形式を大きく変えたものも存在するが、そのぶん肥大化しており、M型ライカやニコンと変わらない大きさ・重さになってしまっているものが多い。レンズシャッター機同様、この時期の露出計は信頼出来ないものが多く、おすすめできない。

距離計連動ニコンの各機種は、時代を経てもほぼ同じ大きさ・重さ(ボディのみ600g程度)であり、コンタックスもさほど小型軽量でない。またレンズ部分の突出をなくすためには沈胴タイプのレンズが欲しいところだが、これらのカメラに適合する沈胴レンズは初期のものに限られ、極めて高価である上にコーティング等の仕様が低く、性能が良いとは限らない。

M型ライカもニコンやコンタックスと似たような重さ・重量であるが、ライカMマウントの互換機には小型軽量なものが存在する(ライカ/ライツミノルタCL、ミノルタCLE、ベッサR/R2など)。特にミノルタCLEは小型軽量(本体375g)でありながら自動露出も備える素晴らしいカメラであり、この機種を専門に取り扱う修理業者も存在することから、小型軽量なカメラを探す際には、比較検討の対象に入れて良いと思う。

使い勝手
M型ライカとニコンはプロの酷使に耐えるよう極めて頑丈に、また素早い操作が出来るよう設計されており、使い勝手は良好である。距離計も見やすく極めて高精度で、広角レンズや標準レンズであれば、一眼レフよりも容易に高精度なピント合わせが出来る。ミノルタCLEはそれよりは小ぶりにできているが、自動露出を備えていることもあって使いやすいカメラである。ただしマニュアル露出では露出計が動作しないことには注意を要する。

バルナック型ライカは、上記のカメラよりも使いづらい部分があり、いくつかの「儀式」とも呼ぶべき注意点がある。特にフィルムの装填がやりづらいという意見が多く見られる(底からフィルムを差し込むときに、きちんとレールにフィルムが収まらないことがある)。またシャッターダイヤルがカメラの上部(高速用)と前部(低速用)の2箇所に分かれているが、実際にはスローシャッターを使う頻度は少ないため、気にするほどではない。ニコンもS2までは2段式のシャッターダイヤルだが、一箇所にまとまっておりやや使いやすくなっている。

バルナック型では、距離計とファインダーが分かれている点がほかのカメラとは大きく異なる点である。距離計の精度とファインダの覗きやすさを両立させるという点では優れているが、やはり速写性の観点では使い勝手が劣ることは否めない。小型化の代償と見て判断すべきであろう。バルナック型ライカとコンタックス、初期のニコン(Sまで)はノブ式の巻き上げになるが、急いで連写することもない現代では大きな問題ではない。

レンズ
レンズは、いずれも様々な焦点距離やタイプのものを選ぶことが出来る。特に広角レンズが一眼レフよりも小型軽量であり人気がある。ただし最短撮影距離は距離計により決まってしまうので、広角にすると倍率が下がってしまう(小さなものを撮影できない)点には注意すべきである。

Lマウントのレンズのうち、標準レンズのエルマータイプには沈胴タイプが多く揃っており、これをバルナック型やCLEと組わせると持ち運びしやすいカメラが構成できる。上の写真では、エルマータイプと似た設計だが、ニコン製のLマウントレンズ、Nikkor-Q.C 5cm F3.5 がニッカに装着されている(エルマーのほうが沈めた時の薄さは薄くなる)。

類似機種
バルナック型の、「当時の」互換機としては国産としてはキヤノンやニッカ、海外ではカードンやリードなどが存在するが、海外のモデルや、国産でも上記以外はレアで高価なものが多い。よって本家ライカか、ニッカ・キヤノンから選ぶとよい(ニッカ等でも、品質はそう劣るものではない)。ニッカにはニッコールレンズが付いたものも多いが、前記の沈胴式のニッコールは極めて珍しいので入手は難しく、ライカのエルマーを探すほうが早いだろう。

M型ライカでは、上に挙げたミノルタCLEが、小型軽量であることや、信頼性から最も推薦できる機種である。この前身であるライツミノルタCL(ライカCL)は露出計の素子がシャッターの手前に出てくる関係で沈胴レンズとの相性が悪い。他にもコニカヘキサーRFや、コシナのベッサシリーズ(ただし一部はLマウント)・ツアイスイコン(コンタックスではなく、これもコシナ製のMマウントカメラ)も存在する。ベッサR2やツアイス・イコンはライカに比べて軽量だが、大きさの点では大きなアドバンテージはない。

AFコンパクトカメラ

上の写真では、ニコンミニとコンタックスTvsが該当する。挙げきれないほどの多くの機種が存在するが、一般ユーザによるフィルム消費が衰退した現在でも認知されているものは限られる。


ニコンミニ(AF600QD)とニコンS2


ニコン35Ti

レンズ交換
殆どの機種ではレンズ交換は出来ない。コンタックスGシリーズは一眼レフでないAFカメラでありながらレンズ交換が出来る珍しい機種だが、大きさの点は大きなアドバンテージがない。そのかわりズームレンズを備えた機種が多い。ここには挙げていないが、デジタルカメラ出現前の、1980-1990年代に一般的に利用されてきた35mmコンパクトカメラの多くにはズームレンズが備わっている。ただし単焦点レンズを備えたものに比べ、画質で劣ったり、望遠側が極端に暗いものが多い。ここに挙げたコンタックスTvsは2倍ズームと控えめであるが、画質にはよく配慮されたレンズが搭載されている。

形式、露出計、重さ
大きさ・重さは様々であるが、1990年ごろに小型軽量化競争があり、結果として、手動のカメラよりも小型軽量なカメラが出現した。ニコンミニ(AF600QD)はわずか155gで、厚みもわずか32mmとなり、デビュー時は最小・最軽量だった。コンタックスT(270g)やオリンパスXA(225g)に比べてもかなり軽量であるが、ここまで来るとどちらも十分であり、差を感じる程ではない。さらにフラッシュも内蔵されている。

小型軽量で安価なAFコンパクトカメラは自動化も極端に進められており、絞り値を設定する余地がない。ニコンミニのような機種では焦点距離が短いこともあって、被写界深度の浅さを活かした絵作りは難しい。そのため、絞り値が設定できる(絞り優先AEが利用できる)AFコンパクトカメラも発売されている。上記コンタックスTの後継機種であるコンタックスT2に端を発した「高級コンパクトカメラ」のジャンルが1990年ごろに発生し、多くの機種が作られた。チタンを外装に用いた機種が多い。若干大きく重くなってはいるが、多くの機種では単焦点レンズを備えており、レンズが沈胴するようになっていることから依然として小型軽量であるといえる。細かなものにピントを合わせる必要がなければ、十分、様々な絵作りを楽しめるカメラである。

使い勝手
AFコンパクトカメラでは、とにかく何も考えなくてもシャッターボタンを押すだけで撮影ができ、巻き上げさえ必要がない。ただし電池の確保が必要であり、最近のデジタルカメラのほとんどが充電式となった影響で、適合するリチウム電池は「すぐにどこでも買える」という状況ではなくなりつつある。

このタイプのカメラで最も問題となるのは、AFが合わない被写体があること、またそれ以上に問題であるのは、そのことが撮影者にとってわからないことである。特に花や木々のような細かいもの、細いものは不得意なことがある。アクティブ測距方式(赤外線を投光し、その反射角度から距離を求めるもの)に比べ、パッシブ方式(二箇所から撮影した画像を比べて距離を推定する方式)のほうが細かいものや遠距離の被写体を得意とし、高級コンパクトカメラにはパッシブ方式を備えるものや、アクティブ・パッシブを併用するものもある。また一部の機種ではボディやファインダ内に求めた距離が表示されるものがあり、それを確認することで、大きくずれているケース(中抜けと呼ばれ、二人の人物の真ん中から背景が見えている時に、背景にピントが合ってしまうような現象)が起こったことを知ることが出来るものもある。

レンズ
高級コンパクトカメラに搭載されているレンズには、最新の設計製造技術やハイレベルなコーティングが投入されており、極めて高性能なレンズが多い。うまくピントが合いさえすれば、非常に良好な画像を得ることが出来る。

「高級」と呼ばれないタイプのカメラでも、単焦点レンズを備えたものは高画質なものが多く見られる。ニコンミニもその写りの良さで人気を博したモデルであるし、他にも京セラのTプルーフや富士フィルムのティアラなどレンズの良さを前面に打ち出したモデルも存在する。当時はズームレンズを備えたタイプに比べ安価なモデルであったことは皮肉である。ただし絞りの形状が丸くないものが多く、ぼかした時のぼけの品質は劣ることが多い(一方、高級コンパクトAFカメラでは、円形に近い形状を保つ虹彩絞りが搭載されているものが多い)。

類似機種
高級コンパクトAFカメラは、そのパイオニアであるコンタックスT2に続くものとして、単焦点レンズを備えたT3、ズームレンズを備えたTvsシリーズ(3種類)が存在する。Tvsシリーズの写りも侮れない。また他のメーカも対抗機種を販売しており、ニコン35Ti/28Ti, ミノルタTC-1、リコーのGRシリーズ、ライカミニルックスシリーズなどがある。コニカヘキサーも定評のあるカメラだが、大柄で、かつ沈胴しない。

単焦点コンパクトカメラで定評があるのは、ニコンミニやTプルーフの他、コニカのビッグミニシリーズ、富士フイルムのティアラシリーズなどがある。同シリーズでも後期にはズーム化されたものが多く見られるが、単焦点モデルに人気があるように思われる。定評のモデルの他にも写りが良いものもあるはずで、現在このジャンルは極めて安価になっているため、それを探すのも面白いかもしれない。

おすすめの機種

以上のように、いろいろなタイプがあり、なかなか選びがたい(極論すると、1つですべてを満たすものはない)が、個人的なおすすめの機種は以下の通りである。
レチナIIaまたはIIc/IIIC
蛇腹の付いた、折りたたみ型ではもっともお勧めできる機種である。シャッターが自動でセットされないもの(コンテッサ)、巻上げ方法が特殊なもの(ヴィテッサ)などと比較して操作性がよく、かつ、小型軽量である。ファインダの見やすさは IIIC 大窓と呼ばれるモデルが良いが、少し大きいことと、巻き上げレバーが底にあるため、IIaと比べて購入すると良い。クセノン・ヘリゴンレンズともにとても良く写り、距離計の精度も十分なので、大口径のボケを活かした絵作りには向いている。畳むとレンズに蓋がされるのも良い。

バルナック型またはミノルタCLE+沈胴レンズ
若干高価な組み合わせとなるが、本格的なカメラが欲しい、というタイプにお勧めできる。バルナック型は迅速な撮影操作に向いていないが、その儀式を楽しむ心の余裕を楽しむべきであるし、なにより作りが良いので、所有する喜びは大きい。CLEは自動露出を備えることから、迅速な撮影に向く。沈胴レンズの他、標準のロッコール 40mm F2 も小型軽量であるためお勧めできる。距離計・ファインダの見やすさの点でも、ここに挙げたおすすめ機種の中では群を抜いて一番であろう。

オリンパス35RC, リコー500G/GS/GX
沈胴や折りたたみが出来ないが、安価で写りが良く、使いやすいカメラである。この種のコンパクトカメラは似たような外観でも大きさ・重さが大きく異なり、軽いものでは330g程度、重いものでは1kg近くあるので、ネットショップ等で購入するときはスペックや写真だけで判断せず、事前に重さを調べておくほうが良い。また、機種によっては電池の入手性がよくないものがある。軽さを求めるのであればコニカC35、ミノルタ HI-MATIC F、フジカGER、リコーエルニカFなどが350g前後となる。また、400gを少し超えるものには、コニカC35FD(レンズがF1.8と明るい)、オリンパス35RC(マニュアル露出可能、トップカバーにシャッター速度ダイヤルがありファインダ内でも速度が確認できる)、リコー500G/GS/GX(マニュアル露出時にも露出計が動作する)などの魅力的なモデルが揃っている。焦点距離が40-45mmと短めで使いやすいのもこのタイプの美点である。

コンタックスTまたはオリンパスXA
距離計によりピントを合わせて撮影したいが、とにかく小さなカメラが欲しい、という場合にお勧めできる。小型化のため操作部材が極端に小さく、操作しづらいことは否めないが、どちらも自動露出を備えていることもあり、撮影操作に特段の不都合はない。XAとTを比べた時の最大の違いは、Tには虹彩絞りが備わっておりボケの形状が丸く保たれる点であろう。写りはどちらも十分であるが、開放絞りで周辺まで均一な描写を保つか、というと、どちらも欠点なしとはいえない。XAは露出計のCdSセンサが劣化しているものが多くなっている。

ティアラ、ニコンミニ、コンタックスT3
AFカメラからどれを選ぶのかというと、完全に好みの世界になってしまう。その中で、敢えて上の3機種を選んだ。ニコンミニと、(初代の、ズームでない)ティアラはどちらも優れたレンズを備えており、28mmの広角であることもあってピントの精度が気になることがほとんどない。コンタックスT3は高級コンパクトAFカメラでは最後のほうに出現した機種であり、極めて小さい上に優れたレンズが搭載されている。個人的にはニコン35Tiも持っており、そのレンズの写りは大変気に入っているが、少し大柄だし、一般には、少しバランスを欠いたカメラであると認識されているようである。しかし、近年、高級コンパクトAFカメラは極端に高騰しており、修理が難しくなっていることもあっておすすめしづらくなってきた。